企業の取り組み事例から考える有効な「内定者フォロー」施策とは

最終更新日 2023年7月19日


売り手市場で複数企業から内定を得る学生も少なくありません。
そこで必要となるのが内定者フォローです。
本記事では、「実例を交えて即効性のある内定フォローの施策」をまとめます。

内定者フォローが必要な理由

2008年、リーマンショックによって世界的に大不況が発生。
日本もその例外ではなく、国内においても採用人数を減らしたり、採用活動を中止したりする企業が相次ぎました。
買い控え状態にあった新卒市場ですが、この状況は2012年の政権交代を機に一変します。

1.新卒市場の変化

2012年に政権をとった自民党は、金融緩和や財政出動を断行。
通称”アベノミクス”と呼ばれた政策によって、株価が大きく改善。
これにより、国内は「経済が安定すれば、大幅な増収が見込める」との期待が広がります。
この結果、企業の多くが採用活動を拡大。アベノミクス以降も経済は緩やかに回復を続け、新卒採用は1人の学生が複数企業から内定を得るのも珍しくない「超売り手市場」へと変わりました。

2.学生は「取捨選択」する

貴社が内定を通知した学生の中にも、おそらく他社から内定を得ている人もいるでしょう。
言うまでもありませんが、彼(彼女)らが入社するのは1社だけです。
彼(彼女)らは「どこで何の仕事をするのが自分にとって最善か」を念頭に置き、自身のキャリアについて考えています。

採用活動のとき、人事担当者様が報連相に不備がある学生を「意欲の低い人」と評価するのと似ていて、内定通知後、連絡がなければ、貴社への入社意欲が下がってしまう学生は少なくありません。
なぜならば、内定を得たばかりの学生は貴社で働くイメージが鮮明になっていないからです。

もちろん、人事担当者様はインターンシップや説明会、Twitter・Instagramなど使えるものはすべて使って業務内容や社員の人柄を伝えているかと思われます。
しかし、相手はビジネス経験のない学生です。

中途採用の社員様と比べ「貴社のビジネスモデルを理解しているか」また、「仕事内容をイメージ出来ているか」と言えば、その解像度は低いと言わざるを得ません。
貴社が内定者から「就職先」として認識されるには、彼(彼女)らが、そう判断できるだけの情報を入社直前まで届ける必要があります。

内定者フォローが成果に結びつかない理由

そんな背景もあり、企業様の多くが内定者フォローに注力されています。
貴社においてもそうかと思われますが、今この記事を読んでいる人事担当者様は、現状、自社でやっている内定者フォロー施策で効果が出ておらず、新たな施策を求めてこの記事にたどり着いたのでしょう。

率直に言って、内定者フォローが上手くいかない理由は、実のところ施策以外の部分に原因があるケースがほとんどです。

1.原因は施策以外にある

それが、電話の応答率・メールの開封率の低さです。
東京工科大学(東京都八王子市)が学生に普段、使っているツールを尋ねたところ、「LINE」が98.4%でトップに。
LINEは同校が調査を始めて以来9年のあいだ利用率90%超で推移しています。

(▷東京工科大学「新入生コミュニケーションツール調査(2023年版)」)より出典

また、株式会社マーキュリーが23年度入社の社員に就職活動で使っていたツールを尋ねたところ、LINEがYouTubeに次いで2位に入っています。

ですが、YouTubeは動画視聴ツールで、LINEは文章やスタンプでコミュニケーションを取るツールです。
調査における利用率は2位ですが、ツールの違いを考慮すると「LINEは就職活動で利用されたコミュニケーションツール」と言えます。
また、こうした調査の結果から学生の多くは就職活動でLINEを使うことに抵抗がないと言って良いでしょう。

LINEはメールに置き換わるツールですが、その機能は文章でのコミュニケーションだけではありません。LINEは電話もできます。
東京工科大学の調査表にありましたが、長年にわたり利用率を伸ばしています。
つまり、学生は私たちビジネスパーソンが新卒だったときにあった”知らない番号からかかってきた電話に出る習慣”がないのです。

こうした背景が貴社が内定者フォローを行うときの足かせになっているのです。

即効性のある内定者フォロー施策

内定者に「この会社に入社しよう」と思っていただくには、まず貴社の呼びかけに応じて」もらわねばなりません。
そのために、まずやっていただきたいのが連絡ツールの選定です。

1.連絡ツールの選定と連絡頻度の確認

今までどおり電話・メールで内定者フォローを進めようとすると学生に出てもらえず(または、メールを開封されず)フォローが始められません。
これでは、工数だけがかかってしまいます。

とは言え、LINEはもともとプライベートのコミュニケーションツールとして普及してきました。
その経緯を踏まえると「就職活動にLINEを使いたくない…」と考える学生もいるでしょう。
学生とのコミュニケーションに使うツールは、内定者1人ひとりの希望に合わせてください。

【運営部注】
弊社が提供するMOCHICAにおいては、その点を考慮し、連絡手段を「LINE」と「メール」から選べるようにしました。
学生がどちらを選んでも企業様におかれましては、同じようにご利用いただけます。
学生が選んだツールによって、コミュニケーションの質に差が出ることはありません。

また、学生は大学などでの就活セミナーにて「企業様に失礼があってはならない」と口酸っぱく言われています。
このため、彼(彼女)らは人事担当者様とのやりとりに心理的ハードルを感じています。

学生に心理的な負担をかけてしまっては内定者フォローは成立しません。
これでは、人事担当者様と学生は良い関係を築けず、貴社が就職先の候補から脱落するのは目に見えています。

そのような事態を防ぐため、連絡先を交換した直後に「何時ならメッセージを見やすいか」「発信が多いと感じたらそれを素直に言って欲しい」。
「これは入社後の評価に影響しない」と人事担当者様から言明してあげると、学生は安心して発言できます。

2.メンター(相談役)の配置

学生を得た学生は、貴社で働くイメージが鮮明にならなかったり、社員様からの連絡がなかったりすると辞退を考え始めます。
MOCHICAの運営母体であるネオキャリアでは、学生とのコミュニケーションの活発化と人事担当者の工数削減を目的に、会社説明会直後から学生1人ひとりにメンター(相談役)を配置しています。

具体的には、社員にDISC診断を実施。
disc診断は12の質問に答えると、以下のように性格や考え方を分析してくれます(2023年7月時点、利用料金はかかりません)。


▷(DISC 性格類型検査)より引用

社員が相談役となり、学生の選考対策を担当。内定通知後は自身の仕事内容やキャリアについて話すほか、学生の配属先が決まったら、そこのメンバーとの顔つなぎもしています。
内定者フォローにおけるメンター制度の使い方、人事担当者様との役割分担については以下の記事にまとめておりますので参考にしてみてください。

3.内定者懇親会

自分で選んだ道とは言え、新しい環境に飛び込むのは怖いものです。
それゆえ、学生は顔見知りを作ろうとします。その施策としてメンター(相談役)が有効ですが、彼(彼女)らの顔見知りは、社員様だけではありません。
内定者の味方となるのは同じ内定者です。
社内での顔見知りを作るため、内定者同士の懇親会も有効になります。

内定者同士のつながりもつながりを深めるために、MOCHICA運営部がご利用企業様におすすめしているのは食事会です。
「飲みニケーション」とまではいきませんが、同じテーブルを囲んで社員と話すと、内定者同士、または内定者と社員がつながる最初のキッカケとして食事会は有効です。
ただし対面で参加する学生とオンラインで参加する学生で食べるものが違ってしまうと、”目に見えない温度差”が生まれてしまい、双方がうまくつながれないケースがあります。

そうならないよう内定者には参加方法に関わらず、貴社から食べ物・飲みものを支給するのが有効です。
同じものを食べたり、飲んだりすると”見えない温度差”は生じません。
それに加えて、オンラインで参加する学生も社内の雰囲気が分かるよう、社内の会議室で実施するのが良いでしょう。

だだし、ビジネスマナーに慣れていない学生は「先輩社員の飲みものは、いつ注ぎに行くべきなのか」「飲みものや食べ物を切らせてしまったら印象を損ねてしまうのではないか…」と人事担当者様や社員様にそんなつもりがなくても学生はあれこれ考えがちです。

学生を疲れさせてしまっては、良い印象が残りません。

「接待すべき」とは言いませんが、学生1人ひとりにとって良い印象で懇親会を終えなければ、彼(彼女)らの志望度は下がり、それは内定承諾後であっても「辞退」を考える要因になります。
学生に貴社の辞退を考えさせないため、開始前にモデレーターから「気を使って、飲みものを次に来る必要はない」と、ひとことあると親切です。
最初に、社員様からこのひとことがあるかないかで、学生の満足度が変わってきます。

内定者懇親会の準備、満足度の高め方については以下の記事でまとめていますのでご一読ください。

内定者フォローの事例と成果を得るための工夫

ここまで内定者フォローの施策を書いてきましたが、この記事を読んでいる人事担当者様が気になるのは、企業において実際のところどのような内定者フォローが行われているのか。
そして、その施策がどんな成果を挙げているのかだと思われます。
俯瞰的な文章だけでは説得力に欠けると思われますので、以下、企業様のインタビューを交えて、内定者フォローの施策と成果を紹介します。

1.株式会社日本ハウスホールディングス様

もともとは電話で学生にアプローチしていたという株式会社日本ハウスホールディングスの今井様。
「電話でのやりとりに工数がかかり、業務を家に持ち帰ることもあった」とMOCHICA導入前を振り返ります。

MOCHICA導入後の最大の変化を伺ったところ、次のように話してくださいました。

MOCHICAの管理画面で誰がどの(リッチ)メニューをタップしているか分かるんですね。
そうすると、「もしかして日程や当日の参加に関して不明点や不安があるのかな」と見えてくるんです。
そこで個別に、その学生に「次の選考は大丈夫かな?何か不安なことはある?」と投げかけてあげると、返してくれるんですね。

学生がタップしている箇所がわかるようになった結果、彼(彼女)らの不安点を推察。先回りしたフォローをできるようになったと言います。
学生とのやり取りについては「MOCHICAを導入した後のほうが、学生との距離が近くなった。コミュニケーションが濃くなった」と変化を教えてくださいました。

具体的には「ビジネス文章を使わなくなった」と言います。
絶対にそうしなければならない、というルールがあるわけではないですが、メールには、『書き出しは◯◯様』、「2行目は、お世話になっております」など、絶対的なルールとまでは言わないまでも、“暗黙の型”が存在します。

一転、LINEにはそれがありません。
どう使うかは、企業様の自由です。同社においては、“暗黙の型”から脱却。できるだけフランクな会話を意識。人ひとりとの距離感を推察しながら、社員様側からダメ語を使う場合もあるそうです。

LINEには、メールのような型がないとは言え、就活セミナーで「企業様に失礼があってはならない」と口酸っぱく言われている、学生にとって、言葉づかいを変えるのは、とっても勇気がいる行為です。
内定者全員に対し「LINEに切り替えたからタメ語を使う」と決めうちするのでなく、あくまで1人ひとりとの距離感を重視しながら、言葉づかいを変えた結果、学生とのコミュニケーションが濃くなり、彼(彼女)らとのコミュニケーションが活発なったのでしょう。

同社が学生とのやり取りで意識していることについては、以下で紹介しておりますのでご一読ください。

2.ヒロセホールディングス株式会社様

採用業務は、長年外部へ委託されていたそうですが、委託先の撤退が撤退。
代わりのサービスを探していたところ、MOCHICAに出会い「管理画面の見やすさ、操作性、わかりやすさ」に魅力を感じ、導入に至ったヒロセホールディングス株式会社様。

とは言え、「長年、外注していたものを自社に引き上げるので、業務工数の面で不安があった」と、切り替え当時の心境を話してくださいました。
そんな中、MOCHICA導入後についてお話を伺うと「メールはほとんど使わなくなった」と言います。
MOCHICA導入前は「学生さんから電話に出てもらえない」「メールを開封してもらえない」といった事態を懸念されていたのでしょう。
そんな懸念を抱えたまま運用を始めましたが、いざ学生とLINEでやりとりをしてみると、彼(彼女)らからの反応がよく、「(説明会・選考の)前日確認などにかけていた業務時間が大幅に減った」と変化を教えてくださいました。

「工数を大きく削減できたぶん、学生とのコミュニケーションに時間を割けるようになった」と言い、内定承諾率はMOCHICA導入前から約140%改善したそうです。
「内定者フォロー」というと、さまざまな施策ばかりがフォーカスされがちですが、その施策を成果に繋げられる否かは、人事担当者様、あるいはメンターを務める社員様が「学生から信頼されているかどうか」で決まります。

信頼関係を築くために必要なのが”コミュニケーション”です。

MOCHICA導入で空いたリソースを学生とのコミュニケーションに回した結果、内定承諾率140%改善という成果に結びついたのでしょう。
同社がMOCHICAを導入するまでのプロセス、導入で実現できた採用活動の形については、以下にまとめておりますので、参考にしてみてください。

3.クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン株式会社様

「内定辞退率が高まっていたこと」「学生への事務連絡に業務時間を半分以上をとられていた。

「この2点を解消したいと考えていたときにMOCHICAを知ったのが、導入のきっかけになった」と話すのは同社の渋澤様。
渋澤様は採用以外の業務も担当しており、「業務のスマート化(効率化)が必要だった」と導入前を振り返って下さいました。

情報管理の方法や、そのシステムを変える上で懸念点となるのが「導入後、担当者様が違和感なく使えるか」でしょう。
その点を渋澤様に伺ったところ、「MOCHICAはUIがExcelに近いのでスムーズに移行できた」と言います。

「学生とコミュニケーションを深め、内定辞退率を下げる」「業務の効率化を図る」。

人事担当者様がシステムを違和感なく使えなければ、この2つを両立できません。
これはクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン株式会社様に限った課題ではないでしょう。
そこで、私たちMOCHICA運営部は、管理画面をシンプルかつ、ひと目で必要な情報へアクセスできるように設計しました。
導入後、システムを違和感なく運用できたため「業務の比重を、学生とのコミュニケーションに置けた」と変化を明かした渋澤様。

MOCHICA導入により内定承諾率は175%改善したと言います。
渋澤様が学生とのコミュニケーションで意識したこと、メッセージの作り方については、以下にまとめていますのでご一読ください。

まとめ

新卒の就職先は、学生にとってビジネスパーソンとしてのスタートの場になります。
それゆえ、「どんなキャリアを歩むのがベストなのか」「入社後、うまくやっていけるか」などさまざまなことを考えるのでしょう。
そんな中で、企業側が一方的に自社の特徴を発信するだけでは、選考辞退・内定辞退の抑制は期待できません。

記事中にも書きましたが、学生にとって企業とのコミュニケーションは気を使う行為の1つです。
学生と良好な関係を築くためには、担当者が名前を明かしたり、人事担当者様と学生との心理的な距離感を推察し言葉づかいを変えたりして、そのハードルを下げる必要があります。
その積み重ねが企業と学生のあいだに「信頼」を生み、内定承諾率175%改善などの成果にもつながっているのでしょう。

MOCHICAでは、LINEの導入はもちろん、アカウントの運用についてもサポートさせていただきます。
以下からMOCHICAの特徴・導入効果をまとめた資料をご覧いただけます。
採用業務に「内定承諾率を高めたい」「業務工数を減らしたい」といった課題を感じている人事担当者様は、ぜひご覧ください。

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