最終更新日 2021年12月7日
(株)学生支援センターの調査によると、22年卒のうち70%が「複数の企業から内定を獲得した」と回答。
今は、学生が複数の会社から内定を得ることも珍しくない時代と言えるでしょう。
複数企業の中から学生に自社を「就職先」として選んでいただくには、学生が1人ひとりが納得いくまで社内の様子を伝え、彼(彼女)らが入社前に感じる不安や疑問を払拭せねばなりません。
しかしながら、昨今は社会情勢の変化によりZoomやChatWorkなどオンライン上での説明会や選考、内定者へのフォローを余儀なくされている企業様も多いでしょう。
それにより、「会社の雰囲気を伝えようにも、オンラインでは伝わっているかいないかの判断が難しい」「雰囲気をうまく伝えなければ、他社に負けてしまうのではないか」と頭を抱えている人事担当者様もいらっしゃると思います。
そんな悩みを抱えてらっしゃる人事担当者様にご紹介したいのが「メンター制度」です。
メンター制度とは、内定者1人ひとりに「先輩社員が指導役(メンター)となり、内定者に社内の情報や仕事内容を教える取り組み」です。
通常、内定者フォローは人事担当者が主導となり、内定者1人ひとりとメッセージを交わすケースが多いかと思われますが「メンター制度」では人事担当者だけでなく営業やエンジニアなど現場の社員が情報発信や内定者の不安点や疑問に回答。
このため、内定者からみれば「仕事内容について詳しく知れる」「各部署の雰囲気が分かる」といったメリットがあります。
ですが、メンター制度は企業にとって諸刃の剣でもあります。
なぜなら、業務への習熟度が浅い社員をメンターに任命してしまうと、その人は自身の業務に工数を取られ内定者の不安解消は見込めないでしょう。
かと言って内定者とあまりにも年齢が離れた社員をメンターに任命すると学生が気を使いすぎて、彼(彼女)らの本音を引き出せない可能性があるからです。
本記事では「貴社においてメンター制度を実施する際の人選・内定者との距離感の作り方」をまとめていきます。
この記事の目次
社内組織の整備
なんの準備もなくメンター制度を始めようとすると、うまく機能しないケースが多く見受けられます。
それは、「人事担当者」と「メンター」の役割分担がはっきりしていないからです。
「社内組織の整備」と聞くと大げさに感じられるかと思われますが、メンター制度を実施する前に、誰がどこまで担当するかを明確にしておいたほうが、会社も学生も混乱せず、制度の成功が見込めます。
1.人事担当者とメンターの役割分担
メンター制度は、現場の社員が主役となり、学生に内定後のフォローや実務指導を行う制度ですが、営業やエンジニアなど、いわゆる「現場」の社員は通常業務があるかと思います。
そんな中、内定者との連絡役をメンター1人に任せてしまっては、彼(彼女)らとのコミュニケーションがおろそかになり、内定辞退を引き起こしかねません。
辞退を防ぐには内定者とこまめにコミュニケーションを取り、彼(彼女)らが悩みを打ち明けやすい関係づくりが不可欠です。
このため、内定者との窓口は人事担当者が務め、学生の実務的な疑問(人事担当者で解決できないもの)に関しては、メンターに答えてもらうのが良いでしょう。
メンター制度において、人事担当者は「内定者とメンター(現場の社員)の橋渡し役」と考えてください。
2.連絡ツールの運用体制
上述の内容と重なる部分もありますが、1人の社員に内定者との連絡役を任せてしまうと、日々の忙しさに忙殺され、内定者とのコミュニケーションや情報発信がおろそかになってしまうケースがあります。
このため、学生との連絡用ツールは、最低でも2〜3人で運用するのが良いでしょう。
規模の小さな企業様ほど「業務工数を最小限に留めたい」との思いから、連絡ツールのアカウントを1人の社員に任せる傾向が見受けられます。
しかし、そうしてしまうと学生と話す際の挨拶文や、コンテンツが浮かばなくなり発信が滞りがちに。
発信が滞ってしまうと、学生の中には疑問と不安だけが残り、志望度が内定承諾当初より低下します。
そうなってしまっては、彼(彼女)らが他の企業に目移りするのは時間の問題です。
よほど志望度の高い内定者でない限り、学生は積極的にアプローチしません。
それは、彼(彼女)らの中に「内定先とは言え、連絡の際に粗相があったら印象をわるくしてしまうのでは…」との不安があるからです。
上述しましたが辞退を防ぐには、常に企業側からコミュニケーションや情報発信をおこなう必要があります。ゆえに、それを途絶えさせないための体制づくりが何よりも不可欠です。
実施するときの注意点と発信頻度
社内の体制づくりが終わったら次はいよいよ、メンター制度を実行に移します。
1.メンターの選び方
上述のとおり、自分の仕事で手一杯になってしまう社員では、学生のフォローに手が回らず「メンター」は務まりません。と言うよりメンターとしての高い効果は見込めないでしょう。
かと言って、内定者とメンターの年齢があまりに離れすぎていると、学生が気を使ってしまい彼(彼女)らの本音や悩みを聞き出せない可能性があります。
結論から言うと、メンターは新卒で入社したTwitterやInstagramに精通している2~3歳上のエース候補の社員を抜擢するのが有効です。
内定者と年齢が近ければ、SNSへの抵抗感は低いでしょう。
なにより、2〜3歳上であれば、入社からそれほど時間が経っていないため、内定者と近い感覚で話しができます。
くわえて、入社後2〜3年であれば、自社の事業や社会的な役割、将来のビジョンなどもある程度理解していると思われます。
それゆえ、内定者からみれば自分と近い感覚で社内や業界の内情を質問することが可能です。
ただし、いくらエース候補といえど、1人ですべての内定者の不安を解消しようとすると忙殺され、潰れてしまう可能性も否めません。
メンター制度の中心になるのはエース社員で構いませんが、彼(彼女)が「通常業務」と「メンター役」を並行できるよう、他のメンバーでカバーしてください。
2.コミュニケーションツールの選び方
学生にどれだけ情報発信しても、それを学生に読んでもらわなければ、内定者フォロー(メンター制度)は成り立ちません。
内定者「入社」していただくためには、彼(彼女)らにとって、目に止まりやすいツールで情報を届ける必要があります。
就職情報会社「学情」の調査によると、「使い慣れたツールだから」との理由で就職活動でのLINE利用に積極的な姿勢を示しています。
▷【学情調査「就職活動で最も連絡のつきやすいツールは「LINE」と回答した人の声(2022年卒)より出典」】
ただし、LINEはもともと内定者にとって「プライベートな連絡手段」として利用率を伸ばしてきたツールです。
学生の中には「就職活動にLINEを使いたくない」と考える人もいるでしょう。
「アンケート調査で、賛成派が多いから」との理由だけでLINEを使うのはおすすめできません。
内定者フォローを始める前に「LINEを使って良いか」「何時頃なら返信しやすいか」を確認し、学生1人ひとりの返答に応じて使うツールやメッセージ発信の時間を決めるべきです。
この段階で、多数決でLINEグループを作ると、「LINEを使いたくない」と考える学生の志望度は下がるいっぽうです。
それは、やがて内定辞退の原因にもなりますので、”数の原理”を使った強行だけはやめてください。
3.発信の頻度
(株)学生支援センターの調査によると、企業の約7割が「月に1回程度の連絡を実施した」と答えたのに対し、学生は2週に1回程度の連絡を望んでいます。
厳密には、連絡がほしい頻度も学生1人ひとりに個人差があり一概に「週に○回連絡すべき」と断言するのは難しいと言わざるを得ません。
ただ、調査結果をみると、学生の多くは高い頻度での連絡を望んでいるのは事実です。
これは裏を返せば、内定承諾〜入社までのあいだ、学生は人事担当者やメンターが考えているより不安を感じやすいとも言えるでしょう。
具体的な連絡の頻度とメッセージを送る時間は内定者と相談し、決めていただければと思いますが「連絡は企業が考えているより少し多め」くらいがちょうど良いかと思われます。
内定者への発信頻度やメッセージ例については、以下の記事にもまとめていますので参考にしてみてください。
具体的なコンテンツ
社会情勢の変化に伴い、オンライン形式でのインターンや選考・内定者フォローを余儀なくされた昨今。
「内定者と直接会えない状態で、自社の仕事内容や雰囲気をどうやって伝えるか…」。また、「それらを学生に伝えるとき、何をすれば競合他社と差別化できるか…」と頭を悩ませている人事担当者様は多いかと思われます。
正直なところ、ZoomやChatWork、LINEを使って「弊社は風通しが良い会社」「ワークライフバランスを重視している会社です」と言っても内定者が『入社』を決断する理由にはなりません。
なぜなら、内定者は他の会社でそういった”誘い文句”を飽きるほど聞いているからです。
星の数ほどある企業の中から、学生に自社を「入社先」として選んでいただくには、上記のような誘い文句を使わず、彼(彼女)らの疑問や解消する必要があります。
1.「個」の関係を築く
”口説き文句を使わない”とは、「競合他社がやらない斬新な方法で情報を発信する」との意味ではありません。
情報発信を実施する際、人事担当者様やメンター役の社員様にやっていただきたいのは「内定者と1対1の関係を築くこと」です。
オンライン形式で内定者フォローを実施するとき、担当者様は「おそらく、何らかの質問が出るだろう」と考えながら準備をされると思います。
しかし実際のところ、質問はほとんど出ません。理由は、内定者と人事担当者・メンターとの間に信頼関係がないからです。
このため、MOCHICAを導入いただいている企業様には「まずは、内定者1人ひとりと面談をするのが有効」とお伝えしています。
(1)内定者に質問しない面談
これは「面談」と言っても学生に質問するための会ではありません。
このとき、人事担当者様とメンター役の社員様にやっていただきたいのは「自分がどんな経緯を経て今の会社を選んだかを話すこと」です。
要するに、ご自身の就職活動について話してください。
少し話しはそれますが、何も知らない赤の他人に自分の趣味や特技を熱弁する人はいないでしょう。
それと同じで、人事担当者やメンターと言えど、学生はどんな人かも分からない人間に、自分の疑問や不安を詳しく明かしません。
彼(彼女)らは、自分で選んで、貴社の内定を承諾したものの「人事の人や、配属先の先輩が怖かったらどうしよう…」と考えているケースが多く見受けられます。
そこで、社員が自分の情報を開示。
就職活動やの経緯や、今の仕事の内容を明かした上で「今、弊社としては○○に課題があるので▲▲(学生の氏名)さんにはそこを手伝って欲しい」と言われれば、学生は入社後の仕事をイメージしやすくなります。
人事担当者やメンターの情報が明らかになった上で、仕事の内容を伝えれば学生は前向きに「入社」を検討するでしょう。
たとえば、内定者が2週に1回、人事担当者やメンターとの面談を望んでいるのでいる場合、1週目は「人事担当者」。2週目は「メンター」といった具合に実施するの実施するのが有効です。
それを繰り返しているうちに、学生は発言しやすくなり質問も出やすくなるでしょう。
正直なところ、業務工数はかかってしまいますが内定辞退されるよりは良いかと思われます。
とは言え、内定者全員と面談するのが難しい人事担当者様もいらっしゃるでしょう。
その場合は、社内でインタビューを実施し、それをLINEやChatWorkで配信するのが有効です。
インタビューの質問内容や、やり方については以下の記事にまとめていますのでご一読ください。
2.職場の様子を伝える
内定者が積極的にメッセージに応じるようになったら、それは彼(彼女)らとの信頼関係ができた証です。
信頼関係ができたら、職場の様子を伝えましょう。
このとき、単に「先日こんなことがありました」ではなく「〇〇さん(内定者の名前)は、風邪引いていませんか?」「内定後、気になることはありませんか?」など、文章を疑問形で終えてみてください。
単に「報告」ではなく「質問」で終えることで、学生との会話のきっかけができます。
これにより、学生個々の状況を把握しやすくなります。
様子の伝え方については、以下の記事にまとめていますのでご一読ください。
上記は、母集団形成に関する記事ですが、発信のやり方は内定者フォローにも応用できます。
具体的な企業名を挙げて、成功事例を載せていますので発信するコンテンツに迷ったときに読んでみてください。
3.参考書の紹介
入社までに勉強して欲しいことがある場合には「参考書の紹介」が良いでしょう。
実務に必要な知識に言及、参考書などを紹介することは、学生にとっての安心感につながります。
業務工数を減らすために
「TwitterやInstagramの運用をしたほうが良い」と分かっていても、コンテンツが思い浮かばず、運用をちゅうちょする(または運用を始めても発信が止まってしまう)ケースは少なくありません。
結論から言うと、MOCHICA運営部では、そのような悩みを抱える人事担当者様に「コンテンツを曜日ごとに決めるのが良い」とお伝えしています。
たとえば以下のとおりです。
○月曜日:Twitterで写真を添えて、お昼休みなどオフィスの様子を紹介
○水曜日:TikTokで各部署の長や若手社員の密着動画を撮影し、発信
○金曜日:Instagramで社員のインタビューや仕事内容を紹介
○※その他、各SNSにリプライやコメント、問い合わせがあれば別途、随時対応
投稿テーマをあらかじめ決めていれば、コンテンツに迷わなくなります。
また、スキマ時間に各曜日のテーマに沿った写真を撮影し、投稿文を後日考えるなど、工夫すると他業務への影響を最小限に留められます。
SNSの運用に大切なのは、発信を止めないこと。かつ、企業の担当者が無理なく返信・応答できること。
そのために、「コンテンツを曜日ごとに決めておく」「1人の社員に負担をかけすぎないよう、複数人で運用する」といった方法が有効になります。
はじめから「Twitter・Instagram・TikTokをうまく運用しなければ」と考える必要はありません。
まずは、できる範囲ですべて使ってみて、貴社で無理なく運用できるSNSを探してみてください。
まとめ
今回は、内定者フォローの施策の1つである「メンター制度」について紹介させていただきました。
内定辞退を防ぐためには「学生が不安を言いやすい関係づくり」が不可欠です。
そのためにメンターという存在や、情報発信、学生との密なコミュニケーションが必要になります。
記事中にもありましたが、LINEは学生の利用率が高いツールです。
それは「学生から高い確率で返信が見込めるツール」と言えるでしょう。
NOCHICAでは、企業様1社ごとに専任のスタッフが付き、貴社の採用課題のヒヤリングをおこなった上で、学生1人ひとりの就活ペースに合わせたメッセージの作成をサポートいたします。
体験イベントも随時実施しておりますので「MOCHICAを触ってみたい」という人事担当者様はお問い合わせください。
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学生に入社していただくために、採用担当者は学生にとって、不安を打ち明けやすい人になる必要があります。
企業への連絡の際、「粗相があったら、印象を損ねてしまう」と考える学生は少なくありません。
学生と良い関係を築くには、第一に「コミュニケーションのハードルを下げる」必要があります。
採用活動はメールや電話のみでも展開できますが、学生の利用率が高いLINEで日頃からコミュニケーションを取った方が、学生1人ひとりと良い関係を構築しやすくなります。
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