母集団形成の鍵は差別化!ツイッター・インスタ・TikTokの運用実例


1人1台と言っても過言ではないほど、スマートフォンが普及した現代。それと比例するようにTwitter・Instagram・LINEなどのSNSが一般化。
SNSでの発信が当たり前になったいま、採用活動の際、企業の多くがTwitterやFacebookで自社の情報を発信しています。
しかし、企業がいっせいにそれらでの情報発信を始めてしまったため、多くの企業がある問題に直面。
それは、「企業間で発信の内容が被ってしまったこと」。

株式会社ベイニッチが22年卒の学生に、企業選びの基準を尋ねたところ「職場の雰囲気の良さ」「給与・待遇の良さ」が上位に。

そうすると企業の発信も福利厚生や職場の雰囲気を意識した情報になってしまいます。
SNSの役割は、学生が求めている情報を発信し、自社をPRすること。
企業間で内容が重複するのはやむを得ません。

しかしながら、学生の多くは中小企業に対し、ほとんど知見がありません。このため、「名前が知れている大手企業なら安定しいて、雰囲気も良いはずだ」と考えます。
そのため、就職活動(採用活動)の序盤は、学生の応募が集中。

ゆえに、「中小企業が大手企業と同じ内容をTwitterやInstagramに投稿しても、大手に比べリアクションが良くない、または”未読スルー”されてしまう」という問題が起こりがちです。

ですが、企業の大きさに関わらず、最初の取っ掛かりであるTwitterやInstagramで学生に注目してもらえなければ、母集団形成は見込めません。
本記事では、実例を交えて「SNSごとの使い分け・コンテンツの考え方」をまとめていきます。

SNSごとの特徴と「採用」へのカギ

上述のとおり、SNSで学生に注目してもらえなければ母集団形成は見込めません。
注目してもらうためには、学生の利用率が高いSNSを使い、彼(彼女)らが求めている情報を届ける必要があります。
東京工科大学が2021年に実施した調査によると、学生がよく使うSNSは以下のようになっています。

【現在利用しているSNS(全体/複数回答)】

東京工業大学 新入生の「コミュニケーションツール」利用実態調査2021年版[1]より出典

LINEは登場以来、利用率が右肩上がりに。2021年には利用率99.5%を記録しています。
ただし、LINEは友だち(登録者)同士のみでやり取りをするクローズドなコミュニケーションツールです。
企業であれば、WEB面接や内定者フォローに適しているでしょう。
しかし、企業がLINEで学生とコミュニケーションを取るには、第一に友だち(登録者)を増やさなければなりません。

1.SNSを「採用」につなげるには

ほかのSNSをの利用率をみると、つぶやきアプリの「Twitter」写真投稿アプリの「Instagram」、ショートムービー撮影アプリの「TikTok」が右肩上がりを示しています。
つまり、企業がSNSから「採用」を勝ち取るには、自社のTwitter・Instagram・TikTokに興味を持ってもらい、学生をLINEい誘導できるかにかかっています。

Twitter・Instagram・TikTokに「登録したい」と思ってもらうには

学生が職場の雰囲気や待遇についての情報を求めているとは言え、一方的に会社の良いところだけをPRしても、「学生は登録したい」と思いません。
なぜなら、人は良いところだけを聞かされると、無意識のうちにどこかウソっぽく感じてしまうから。

学生が「この会社のTwitterやInstagramに登録したい」と思うのは、「会社の情報が自身の志望職種に近かったとき(就職活動に役立ちそう)」と思ったとき、または、「その会社に親近感を覚えたとき」です。
だからこそ、企業側は仕事内容や社員の人柄をくわしく伝える必要があります。
そのために意識していただきたいのが「何を発信するか」と「言葉づかい」、「写真の使い方」です。

1.何を発信するか

たとえば、「社員の人柄を知ってもらおう」と考えTwitterを使うのは適切ではありません。
なぜなら、Twitterは入力できる文字数が全角280字と少ないからです。
Twitterで入社の経緯~現在までを取材しまとめようとしても、文字数が少ないため書ききれないでしょう。
この場合は、写真をまとめて10枚まで掲載でき、文字数の入力上限が2200字まである「Instagram」が最適です。

いっぽう、Twitterは入力できる文字数が少ないですが、裏を返せば「サッと読んでもらいやすい」との利点があります。
このため、Twitterはオフィス紹介に向いています。

ただし、学生の多くは就職活動用のTwitterアカウントを作り、複数の会社または個人のアカウントをフォローしていると考えられます。
このため、「朝夕でオフィス紹介を2回投稿する」「発信が滞らないようにあらかじめコンテンツを決めておく」など、”学生の目に留まる工夫”があると良いでしょう。
SNSごとの使い分けについては以下を参考にしてみてください。

【SNSごとの使い分け例】
1.広報活動
○Twitter:ツイートできる文字数が280字と制限があるため、写真付きで簡略的に社内の様子を紹介
○Instagram:入力できる文字数が2,200字と多いため、Twitterで伝えきれないところを補足。
○TikTok:音楽に合わせショートムービーで社員の人柄を紹介。
○YouTube:社内セミナーのダイジェストを投稿。上記プラットホームでシェア
○LINE:アカウントの存在を上記プラットホームで定期的に告知。
2.連絡手段
○LINE:最初はTwitterのリプライやInstagramのコメント。学生がLINEに登録した段階で移行。

2.言葉づかい

親近感を伝えようとするとき、「タメ語を使ったほうが良いのでは…」と考えるかと思われます。
しかし、画面の向こうにいる学生はあなた(SNS担当者)の名前どころか顔も知りません。
そんな中、タメ語で投稿し続けても、そもそも何の会社なのかわからず、学生にフォローされないケースがほとんどです。
Twitter・Instagram・TikTokに『△△(社名)@人事部』のように、社名しか出さない場合は、少しぐらいラフな言葉を使っても構いませんが、基本的には敬語を使いましょう。

反面、Twitter・Instagram・TikTokに『◯◯(自分のニックネーム)@△△(社名)』のように、個人名と社名の両方を出す場合には、最初からタメ語でも構いません。
このあたりは、貴社の企業風土に合わせて決めていただければと思います。

3.写真の使い方

企業の多くには普段から写真を撮る習慣がないため、そもそも社員の多くは写真を撮られ慣れていません。
そんな中「SNS用の写真を撮ります」と呼びかけたら、普段とは違い硬い印象になりがちです。
オフィスの様子を撮るときは、その部(または、課や係)の長にだけに断りを入れ、他の社員が気がつくか気がつかないかの距離で撮りましょう。

反面、Instagramやナビサイトにインタビューを載せるなら、写真はハッキリとしていたほうが良いでしょう。
ただしこのとき、インタビューイが緊張しないよう、コミュニケーションを図りながら写真を撮ると親切です。
インタビュー記事の書き方、写真の使い方については、『採用は母集団形成から!学生がエントリーしたくなる「掲載文」の書き方』にて紹介していますので参考にしてみてください。

コンテンツの考え方

「TwitterやInstagramの運用をしたほうが良い」と分かっていても、コンテンツが思い浮かばず、運用をちゅうちょする(または運用を始めても発信が止まってしまう)ケースは少なくありません。

結論から言うと、MOCHICA運営部では、そのような悩みを抱える人事担当者様に「コンテンツを曜日ごとに決めるのが良い」とお伝えしています。
目的が母集団形成の場合は、たとえば以下のとおりです。

【SNSの投稿例】
○月曜日:Twitterで写真を添えて、お昼休みなどオフィスの様子を紹介
○水曜日:TikTokで各部署の長や若手社員の密着動画を撮影し、発信
○金曜日:Instagramで社員のインタビューや仕事内容を紹介
○※その他、各SNSにリプライやコメント、問い合わせがあれば別途、随時対応

投稿テーマをあらかじめ決めていれば、コンテンツに迷わなくなります。
また、スキマ時間に各曜日のテーマに沿った写真を撮影し、投稿文を後日考えるなど、工夫すると他業務への影響を最小限に留められます。

SNSの運用に大切なのは、発信を止めないこと。かつ、企業の担当者が無理なく発信できること。
そのために、「コンテンツを曜日ごとに決めておく」「1人の社員に負担をかけすぎないよう、複数人で運用する」といった方法が有効になります。

はじめから「Twitter・Instagram・TikTokをうまく運用しなければ」と考える必要はありません。
まずは、できる範囲ですべて使ってみて、貴社で無理なく運用できるSNSを探してみてください。

SNS運用の成功事例と、その理由

ここまでTwitterやInstagramの運用方法を中心に書いてきましたが、実際にどう運用されているかを見ていただくと、運用方法がより分かりやすくなるかと思います。
「なぜ、学生からの反応が多いのか」。その理由を中心に企業のアカウントを紹介していきますので、運用時の参考にしてみてください。

1.ニトリ 新卒採用アカウント

1つめは、「お値段以上~」のキャッチコピーでおなじみのニトリ新卒採用アカウント。同社の良いポイントは以下の3つです。


【公式】ニトリ 新卒採用

(1)整理された情報

同社のInstagramを見ると、「福利厚生」「社員紹介」「部署紹介」など、さまざまコンテンツが混在。50枚以上の写真が掲載されています。
一般的に、これだけの情報が混在していれば探すのに苦労しがちですが、同社はプロフィールの下に情報のカテゴリーを作成。
これにより、情報の検索しやすさが飛躍的に向上しています。

単に載せて終わりではなく、同社のようにカテゴリーが作られていると学生はストレスなく情報を探すことが可能に。
いっけん、採用活動とは直接関係がないように思いますがエントリーを悩んでいる学生は、少しのストレスを感じただけでTwitterやInstagramから離脱してしまいます。
企業としてのこのような配慮は、「貴社を第2志望以下に入れている学生」を逃さないことにつながります。

(2)時期に合わせて「学生が求める情報」を提供

もう1つの良い点は、学生が求める情報をしっかりと提供している点です。たとえば以下の投稿。

同社は、2021年1月18日に「選考の方法や面接でよく聞かれる質問」について載せています。
1月といえば、学生にとって選考を控えた時期です。学生からみれば少しでも「内定」につながる”面接の正解”のような情報が少しでも欲しいところ。

その時期に、選考内容に関する情報を公開した結果300を超える「いいね!」を集めました。
ほかにも、学生がインターンシップに行くであろう6月~11月には「社員紹介」を中心に。企業研究をしているであろう時期には「働き方についての情報を多く投稿。
言うまでもありませんが、「欲しいときに欲しい情報」を流すアカウントは、学生にフォローされやすくなります。

(3)学生参加型の企画

学生の多くは「入社したら即戦力として、会社の第一線で働きたい」と考えています。
そんな中、このような企画があれば、学生は「この会社は自分のやりたい仕事を形にできるかもしれない」と感じるでしょう。
社員だけでなく内定者を巻き込んだ企画を発信すると、学生の志望度を上げるだけでなく、内定辞退率を下げる効果も期待できます。

2.大京警備保障株式会社

2つめは、新宿区に本社を構える大京警備保障株式会社のTikTokアカウント。
同社のすごい点は、業務内容の紹介をほとんどせず、自社をPRしているところです。


大京警備保障株式会社【公式】TikTok

たとえば、こちらの投稿。

@dkykeibi_tokyo またホワホワしてるwww#キングプリン #プリン #巨大プリン #グルメ #大京警備保障 #部長初めてシリーズ #部長 ♬ Animal-like forest gentle BGM(823780) – Yuumi Iida

同社の部長が広報に進められるがまま巨大プリンを食べるショートムービーです。
学生の多くは「部長=偉い人」との認識から「真面目」「固い」といったイメージをもっています。
そういった誰もがもっているイメージを、巨大プリンと広報との掛け合いで切り崩し。結果、6000超のハートを獲得。
動画を見ていると風通しの良さが伝わってきます。これなら学生も文字で「アットホームな社風」と言われるより雰囲気をつかみやすいでしょう。

ただし、この手のコンテンツは、一歩まちがえると学生に「内輪で楽しんでいるだけ」と捉えられ炎上しかねません。
しかし、同社は「巨大プリン」「かき氷」「STARBUCKSで注文するといった人の迷惑にならない企画を考え、その工程を部長・課長など役職を超えて全社員で楽しんだ結果、炎上に至っていないのでしょう。

同社については別途、取材記事がありましたので添付しておきます。

まとめ

記事の冒頭にも書きましたが、学生が職場の雰囲気や福利厚生に関する情報を求める以上、発信するコンテンツの傾向が他社とある程度重複するのはやむを得ません。
その中で、他社と差別化していくには記事中に書いたような「検索性の良さ」や「親しみやすさ」。
そして何より、学生が求めているときに欲しい情報を届ける「分析力」が必須となります。

それらを養うには「SNS=PRするツール」との固定概念を捨てなければなりません。
厳密に言えばTwitterやInstagram・TikTokは、「PRするツール」であるのは事実です。
しかし、「PRする」との認識でSNSを運用すると、企業側が伝えたい情報だけを書きがちになるケースは少なくありません。

学生が求めているのは、会社案内やホームページに書いてない企業の内面です。
だからこそ、SNS1つにしても会社(または部署)全員で参加する、自分たちが学生だったらどんな情報が欲しいか、どんな会社に入りたいかを考える、といった施策が有効に
その繰り返しが他社との差別化につながります。
運用に迷ったら、その点に立ち返り方針を考え直してみてください。

以下の資料をご覧いただけます

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