企業の取り組み事例から考える「辞退」を防ぐために有効な施策とは

内定辞退を防ぐ方法
経済の緩やかな回復とともに、企業は採用活動を活発化。
就職情報会社「マイナビ」の調査によると、20年卒のうち約6割が2社以上から内定を獲得
昨今の就活市場は「人手不足」と言われているが、それが内定率にも如実に表れている。

多くの学生が複数内定を得ている昨今、学生に入社していただくためには「選考辞退・内定辞退の防止」が不可欠です。
近年では、そのための施策として、企業に情報発信のノウハウを解説するセミナーやウェブメディアを多く見受けられるようになりました。

しかし、ひとくちに「就活生」と言っても、業界・企業を目指した経緯は一律ではありません。
育った環境や幼少期の体験が違うぶん、志望した経緯や、内定後不安を感じるポイントは1人ひとり異なるものです。
つまり、メールやTwitter・Facebookで情報をつぶやくだけでは、学生の不安を解消できず、満足に辞退を抑制できません
それを防ぐためには、学生個々に合わせたフォローが重要です。
本記事では、「選考辞退・内定辞退を防ぐための施策」について考えていきます。

フォローを始めるべきタイミングは?

一時的、かつ一方的な情報発信のみでは、内定辞退を抑制できません。
学生に入社していただくためには、就職活動の状況に合わせたフォローが不可欠です。
その施策を考えるためには、学生の心情を分析し、それを解消するような情報を提供しなければなりません。
たとえば、学生が大学3年生の6月から就職活動を始めた場合、学生は以下のようなタイミングで辞退を検討すると予想されます。

1.学生の心情から「辞退」のタイミングを考える

以下は、マイナビが18年卒の学生に対し、実施したアンケート結果です。
それによると、17年6月までに内定を得た人のうち、約6割が「入社を意識し不安になったことがある」と回答。


2018年卒向け学生調査「図3」より引用

その理由については、「社会やその会社への適応」が78.0%で最多。
以下、「漠然とした不安(55.5%)」「内定後にネガティブな情報を見た(23.0%)と続いています。


2018年卒向け学生調査「図4」より引用

学生が辞退を検討する背景には、「自信がもてない」「入社後の姿を具体的にイメージできない」といった不安があると考えられます。
就職活動が早期化している昨今、学生の多くは複数の企業に同時に応募し、常に「どこが良いか」を意識しながら就職活動を進めているでしょう。
つまり、学生は企業と接点を持った瞬間から将来を意識し、不安をいだき始めると言えます。
円滑な内定承諾のためには、インターンシップの直後から学生のフォローを始めるのが良いでしょう。

具体的な施策

アルバイト経験のある就活生はいると思われますが、学生の多くは会社で長期的に働いた経験がありません。
だからこそ、学生は自分にとっての「適職」や「良い会社」がイメージできず進路に迷い、選考中や内定後であっても辞退を検討してしまうのでしょう。
それを防ぐためには、企業による積極的な情報発信とコミュニケーションが不可欠です。

しかし、冒頭にも書きましたが、メールやTwitter・Instagramで学生と個々と築ける関係には限界があります。
学生に安心して入社していただくために、社員は学生が不安を感じたとき、それを相談できる関係の構築が不可欠です。

1.コミュニケーションツールの見直し

そこで、最初にやっていただきたいのが「コミュニケーションツールの見直し」です。
当社にて2018年に行ったアンケート調査において、学生に対し「就職活動で利用したいコミュニケーションツール」を尋ねたところ「メール」「電話」を合わせて6割に到達。

「LINEを利用したい」と考える学生は全体の1割程度に留まっています。
「プライベートはLINE」「就職活動では、メール(電話)」と考える学生が多いようです。

同じく当社にて2018年に行ったアンケート調査において、企業に対し採用活動時の連絡手段を尋ねたところ、メールが92.8%で最多。企業においては、まだまだ「メール」が主流となっています。

企業への連絡の際、何らかの不備があった場合、印象を悪くしてしまう可能性があります。
このため、学生にとって企業とのコミュニケーションは、非常に気を使う行為の1つです。
ゆえに、学生がかしこまってしまいメールを送っても返信が遅くなる(または期待したリアクションが得られない)ケースも考えられます。

学生にとってLINEは「プライベートの連絡手段」ですので、送信頻度などは配慮すべきです。
しかし、学生の利用率が高いLINEを使った方が、密なコミュニケーションを見込めます。
MOCHICA運営部が導入企業様に対し、インタビューを行ったところ「説明会の参加率が9割程度になった」「無断キャンセルが1件もなかった」などの成果も聞かれました。

2.担当窓口の設置

学生が漠然とした不安を感じる理由の1つに「社員の名前や人柄を把握できないこと」が考えられます。
TwitterやInstagramで採用情報を拡散する場合には、社員の個人名を名乗らなくても問題ありません。
しかし、プライベートの連絡手段であるLINEで、担当者名がなければ学生は「誰が書いているのか…」と戸惑うでしょう。

これでは、LINEに『わからないことがあれば質問してください』と書いても、学生は誰に質問すべきか分かりません。
選考へのエントリーや内定承諾を迷っている学生であれば、この対応がきっかけで「辞退」を検討する可能性があります。
企業の内情をそれほど詳しく知らない学生にとって、担当者の名前は「安心のきっかけになるもの」です。

LINEアカウントは複数人で運用しても構いませんが、投稿の冒頭には『こんにちは、人事部の◯◯です』と、担当者の名前を書いてください。
些細ですが、こうした積み重ねが学生の不安を取り除くことにつながります。

3.「特定の個人に送っている」と分かる文言を使う

登録者全員に同じ内容を送ってしまっては、TwitterやInstagramと変わりません。
もちろん、それでも情報の伝達はできますが、学生が相談しやすい環境をつくるには「個人宛に送っている」と分かる文言を使うべきです。
たとえば、インターンシップを終えた学生にアプローチする場合は、以下のような内容が良いでしょう。

具体的には「みなさん」「学生さん」などの大きな主語を使うのは避けるべきです。
拡散力の高いTwitterやInstagramでは、それらの言い回しを使っても構いませんが、LINEは原則1対1の空間になります。
その中で「みなさん」「学生さん」など、不特定多数に通用する言い回しが使われていると、学生は「一斉送信している」と感じるものです。

そう判断されてしまったら、企業側がどんなにメッセージを考えても学生には事務的な印象が残るでしょう。
これでは、相談しやすい環境どころか、学生との関係構築も危うくなってしまいます。
「個人の空間」を意識し、少し文言を工夫するだけで、印象は変わるものです。

4.コミュニケーションのハードルを高くしない

上述のとおり、学生にとって企業とのコミュニケーションは、非常に気を使う行為の1つです。
企業側かビジネスメールのような文章を送ってしまうと、学生がかしこまってしまい返信をちゅうちょする可能性があります。
内容はビジネスメールと同じでも、適度に絵文字やスタンプがあるとやさしい印象に変わるものです。

また、企業に電話やメールを入れる際、そのタイミングに悩む学生は少なくありません。
フォローの初期段階で、『何時に返信していただいても構いません』と言及しておけば、コミュニケーションのハードルが下がり、学生からの返信が見込めます。

5.フォローの初期段階では「質問」が有効

将来の就職を意識し、学生の多くは「選考で不利にならないように、少しでも良い印象を残したい」と考えています。
社員から『弊社の印象はいかがでしたか?』とメッセージが届いたとき、志望度の高い学生であれば、比較的はやく返信するでしょう。
メッセージの中に質問を盛り込むと、学生の志望度を推察できます。

返信がない学生もいるかもしれませんが、企業側から1度質問を投げかけておけば、学生がいつか返してくれる可能性があります。
すぐに縁がなくても常に窓口をおくことは、企業にとってマイナスにはならないでしょう。

継続的な関係構築に向けて

社内のイベント情報を単発的に告知するだけでは、学生は返信すべきか否か迷ってしまいます。
学生が相談しやすい環境を作るには、ある程度の頻度で継続的に発信していかなければなりません。
しかし、担当者からすれば業務負担の増加は避けたいところだと思います。

それには事前のルールづくりが不可欠です。
ルールと言ってもそれほど堅苦しいものではありません。
たとえば、以下のようなルールを作っておくと良いでしょう。

1.アカウントを複数人で運用する

アカウントを1人で運用していて他のタスクに追われた場合、時間が割けず発信が止まりがちです。
人員が少ない場合、「最小限の人数で運用しよう」と考えるかもしれませんが、SNSはできる限り複数人で運用した方が、安定的な発信が見込めます。

2.返信が遅れる場合は「見た合図」を送る

複数の業務が重なり、学生からリアクションがあってもすぐには返信できない場合もあるかと思われます。
そのようなケースでは、以下のようにメッセージを見た旨を伝えましょう。

LINEは、受信者(企業)がメッセージを開いた瞬間、送信者(学生)に「既読」が通知されます。
就職するかもしれない企業から、返信がなければ学生は「自分のメッセージに不備があったのかもしれない」と不安をいだくものです。
それが辞退に直接結びつく可能性は低いと思われますが、「良好な関係を築く」という点においてはマイナス作用するでしょう。
繁忙期など何らかの理由で返信が遅れる場合は、先にメッセージを見た旨を伝えた方が親切です。

まとめ

新卒の就職先は、学生にとってビジネスパーソンとしてのスタートの場になります。
それゆえ、「どんなキャリアを歩むのがベストなのか」「入社後、うまくやっていけるか」などさまざまなことを考えるのでしょう。
そんな中で、企業側が一方的に自社の特徴を発信するだけでは、選考辞退・内定辞退の抑制は期待できません。

記事中にも書きましたが、学生にとって企業とのコミュニケーションは気を使う行為の1つです。
学生と良好な関係を築くためには、担当者が名前を明かしたり、いつでも返信して良いと伝えたりして、そのハードルを下げる必要があります。
その積み重ねが企業と学生のあいだに「信頼」を生み、説明会の参加率9割達成などの成果にもつながっているのでしょう。

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