売り手市場の中、人事担当者様が新卒採用において直面する課題は、どうやって競合他社よりも早く、自社のフェーズに合う、優秀な学生を見つけるか。
そして、彼(彼女)らを自社の選考から辞退させずに「入社」まで繋ぎ止めておけるか。
この2点でしょう。
そのカギを握っているのがLINEをはじめとするSNSアカウントの運用です。
学生の多くは就職活動を始めると就活専用のTwitterアカウントをつくり自分の好みに近い会社の情報をピックアップします。
弊社、新卒採用部のスタッフが学生から話しを聞くと、ピックアップした会社の中から、「ここなら自分のやりたい仕事をできそう」、「求める条件がそろっている」と感じた企業を第一志望に据え就職活動を進める、と話す人は少なくありません。
LINEは、言わずもがな私たちが普段使っている連絡用ツールです。
志望度が高ければ学生は「この会社について詳しく知りたい」と考え、貴社のLINEアカウントの友だち登録するでしょう。
本記事では、「新卒採用において辞退者を出さないLINEの使い方」をまとめていきます。
この記事の目次
新卒採用におけるLINEの使われ方と効果
新卒採用において、LINEは「採用管理システム(以下、ATS)」と連携して使われています。
(1)ATS開発と普及の背景
ATSとは、応募学生1人ひとりの選考状況やメッセージのやりとりを1つのツールで完結できるシステムの総称です。
ATS開発の背景には母体となるLINEの普及がありました。
ガラケーが主流だったころは公私ともにメールで連絡を取り合うのが当たり前でしたが、スマートフォンの普及とともに「LINE」の利用者が急増。プライベートでLINEを使っている人事担当者様もいらっしゃるでしょう。
売り手市場のなか、選考中、あるいは内定通知後の辞退に頭を悩ませる人事担当者様は少なくありません。
そんな中、「学生〜ビジネスパーソン、はてはもっと上ので世代が日常で使っているLINEをベースにしたシステムがあれば「学生とのコミュニケーションが活発になり、選考辞退を防げる」との考え方のもと、LINEで選考日程のを調整や、学生へのフォローアップををできるATSがリリースが相次いでいます。
(2)具体的な効果
弊社で提供しておりますMOCHICAもその1つですが、実際、導入企業様からは、「LINEを使ったら、学生からの返信が早くなった」、「学生に親近感をもってもらえるようになった」、業務工数が減り、内定辞退率も大幅に下がったといったお声をいただいております。
▷コミュニケーションのスマート化で業務効率UP/株式会社ウイルテック様
▷「学生の細かい変化に気付くようになった」LINEだからできる細かいフォロー方法/株式会社日本ハウスホールディングス
▷内定数昨対450%!LINEを活用して歩留まり大幅改善/株式会社ヤスナ設計工房
辞退者を出さないLINEの使い方
上述の関連記事にて詳しい成果に触れていますが、LINEはスタンプや絵文字が使えるぶん、ビジネスメールよりも親しみやすさを持ってもらいやすいツールです。
学生は就職活動前に大学などでビジネスメールの書き方を練習しています。
それゆえ「きちんとした文章を書かなければ印象をわるくしてしまう…」と緊張している人が多く見られます。
学生が緊張しているときに、LINEで絵文字やスタンプを使うと”ビジネスっぽさ”が消え、彼(彼女)らは「想像していたのと違う…」と意表を突かれるのです。
つまり、会社のアカウントではありますが、実際は普段のLINEと同じように1対1でやりとりしている感覚に。
「就活=ことば使いも身だしなみもきちんとしないとダメ」という学生が持っている固定概念をLINEを使って企業様側から壊していく。
これが、学生にとっては人事担当者様に好感をもつきっかけになり、その積み重ねが選考中や内定辞退の抑止につながります。
1.登録を促す施策
学生に友だち登録していただくには、まず貴社が彼(彼女)らにとって「志望度の高い企業」にならねばなりません。
その施策として私たちMOCHICA運営部がお伝えしている施策が以下の2つです。
(1)学生が「この人に会いたい」と感じるような会社紹介を書く
学生との最初の接点は、ナビサイトの会社紹介や事業説明ページになるかと思います。
これは、私たちMOCHICAカスタマーサポートスタッフが、お客様の採用支援に携わるとき、人事担当者様にお伝えしている内容なのですが、ナビサイトのガイドラインに沿って、「紹介」や「説明」をしてしまうと、貴社は彼(彼女)らにとって志望度の高い企業になれません。
なぜなら、会社の沿革と事業内容はホームページでも確認できるからです。
人事担当者様がどんなに考えぬいて書いたとしても、内容がホームページとそれほど変わらなければ、学生の中には「○○業をやっている会社という、ふわっとした印象だけが残って、ブラウザバックされます。
これでは仮に持ち駒になれたとしても“第一志望に落ちたときの滑り止め”くらいが関の山と言わざるを得ません。
上述のとおり、学生の気持ちが貴社へ大きく傾くのは、社員様の様子が分かったとき、ひいては、自分が入社後に歩むキャリアを具体的にイメージできた瞬間です。
学生に自身が働く姿を鮮明にイメージしていただく手法として、私たちカスタマーサポートスタッフは社員様へのインタビューをおすすめしています。
具体的には、新卒で貴社へ入った、入社3年目〜5年目のスタッフならば、社員研修の内容や入社後に担当する業務。その後のキャリアについても話せるでしょう。
かつ、入社3年目〜5年目の社員様は20代です。
学生と年齢がそんなに離れていないので、彼(彼女)らには「少し年上のお兄さん・お姉さん」くらいに感じられます。
社員様にご自身の就活の思い出や、入社後の仕事、歩んできたキャリア、貴社が求めている人材像を話してもらえば、学生は入社後のイメージが膨らみます。
選考の合格基準は明かせないと思われますが、「求める人材像」として間接的に伝えるぶんには問題ないでしょう。その情報は学生にとって選考突破のヒントになるのです。
加えて、インタビューのとき、雑談として休日の過ごし方や趣味など、業務に関係ない話を盛り込めば、“企業っぽさ”が消え、社員様の私生活でみせる顔が垣間見えます。
学生の中には、「今の自分と状況が似ている」と感じる人もいるでしょう。
具体的なエピソードが書かれているインタビューを読むと、彼(彼女)らは、まず社員様に興味をもちます。
そこから、LINEの友だち登録を促せば、学生は違和感なく登録できます。
インタビューのやり方、質問事項は以下の記事にまとめておりますので、参考にしてみてください。
(2)LINEのQRコード・アカウントのリンクを貼る
インタビューと合わせてやっていただきたいのが、ナビサイトから送るメールにQRコードを貼る作業です。
メールが主流だったときは、携帯で互いのアドレスを交換するが当たり前でした。
LINEの利用者が増えてからは、QRコードをスマートフォンのカメラアプリで読み込んで連絡先を交換するのが当たり前になっています。
QRコードのメリットは、間違いがないことです。
メールは、1文字合っていなければ相手に送れません。
かつて、そのような経験をし、ヤキモキした人事担当者様もいらっしゃると思います。
QRコードは、カメラアプリで読み込むだけなので、間違いは発生せず、メールのようにアドレスを打ち込む手間もありません。
学生に手間をかけさせないよう、メールの署名部分に貴社のQRコード・アカウントのリンクを貼るのも、スムーズにLINEへ移行するために有効な施策です。
2.繋ぎ止めの施策
LINEに登録してもらい、学生と接点をもっても彼(彼女)らにブロックされたら、選考辞退や内定承諾後の辞退につながってしまいます。
学生から「入社」の返事をいただくには、単に「接点をもって終わりではなく、繋ぎ止めの施策」が欠かせません。
MOCHICAカスタマーサポートスタッフがお客様にお伝えしている施策は以下の4点です。
(1)安定して運用する
この記事を読んでいる人事担当者様も、限定クーポンなどを目的に、自分の好きなブランドや飲食店のLINEアカウントに登録した経験があるかと思います。
端的に言ってしまえばただのお知らせですが、いつも定期的に届いていたそれが届かなくなったらどうなるでしょうか。ご自身の経験と照らし合わせて考えてみてください。
メッセージが届かなければ、そのトークルームはどんどん下がり、すぐ目に見える範囲に表示されなくなります。
それが長く続くと私たちは「あのブランド、あの飲食店はLINEをやっている」という記憶はあるものの、メッセージが届かなければ、好きなブランド、飲食店への興味は薄らいでしまうのです。
それは学生も同じ。最初のメッセージでつながっても、そのあとが続かなければ、貴社への興味は薄くなっていきます。
アカウントを1人で運用していて他のタスクに追われた場合、時間が割けず発信が止まりがちです。
人員が少ない場合、「最小限の人数で運用しよう」と考えるかもしれませんが、 LINEアカウントはできる限り複数人で運用した方が、安定的な発信が見込めます。
とは言え、それでも複数の業務が重なり、学生からリアクションがあってもすぐには返信できない場合もあるかと思われます。
そのようなケースでは、以下のようにメッセージを見た旨を伝えましょう。
LINEは、受信者(企業)がメッセージを開いた瞬間、送信者(学生)に「既読」が通知されます。
就職するかもしれない企業から、返信がなければ学生は「自分のメッセージに不備があったのかもしれない」と不安をいだくものです。
それが辞退に直接結びつく可能性は低いと思われますが、「貴社に興味をもってもらい、学生に好感をもっていただく」という点においてはマイナス作用するでしょう。
繁忙期など何らかの理由で返信が遅れる場合は、先にメッセージを見た旨を伝えた方が親切です。
(2)返信のハードルを下げる
大学などの就活セミナーで「就職活動は第一印象が肝心」とくち酸っぱく言われているため、彼(彼女)らにとって、人事担当者様とのコミュニケーションは、非常に気を使う行為の1つです。
人事担当者様がビジネスメールのような文章を送ってしまうと、学生がかしこまってしまい返信をちゅうちょする可能性があります。
内容はビジネスメールと同じでも、適度に絵文字やスタンプがあるとやさしい印象に変わるものです。
LINEで友だち登録をしてもらったあと、すぐに『何時に返信していただいても構いません』と言及しておけば、コミュニケーションのハードルが下がり、学生は返信しやすくなります。
(3)学生の不安を推察してメッセージを送る
みずから選んだ道とは言え、初めて社会へ出ることに「自分は志望企業の一員になれるだろうか…」、「面接でボロが出ないだろうか…想定外の質問をされたらどうしよう…」といった不安を抱え、就職活動に臨む学生は何人もいます。
ビジネスパーソンとして、キャリアを重ねた人事担当者様にしてみれば『そこは強い気持ちをもって臨んでほしい』と考えるところかと思われますが、全員がそれをできるわけではありません。
学生の中には「強い気持ちをもとう」と思っていても、緊張を抑えきれず、グループディスカッションや面接で普段どおり話せない人もいます。
人事担当者様も、そのような学生を数多く目の当たりにした経験があるでしょう。
友だちや後輩と過ごしていた大学生活とは違い、就職活動は1人で進めねばなりません。
就職活動は孤独と隣り合わせです。
そんな学生の気持ちを自社へ向かせ、志望度を高めていため、私たちカスタマーサポートスタッフは、お客様に対し「人事担当者から定期的に声をかけてあげるのが良い」とお伝えしています。
学生は、孤独感から逃れるため、自分と気の合う味方のような人を探しています。
だからこそ、友人と合同説明会に行ったり、貴社の説明会に参加したりするのです。
これ自体ルール上の問題はないですが、人事担当者様からすれば、本当は貴社へそれほど興味がなく、単なる付き添い感覚で来ている学生。つまり、志望度の低い学生の相手をする必要があります。
単刀直入に言えば、余計な仕事が増えるのです。
人事担当者様が学生にとって「味方」と認識されればムダな作業は発生しません。
そのためには、貴社に興味・関心がある学生の不安を推察し、それを解消する情報を届ける必要があります。
不安をいだいている学生が求めているのは、その解消法と乗り切りかたです。
人事担当者様のほうから不安点を聞き出し、『私は、親・兄弟・友だち・先生……周りにいる人全員に模擬面接をしてもらい、人と仕事をするときの話し方を練習した。その都度、フィードバックをもらって本番に臨んだ』といったような自身がやった練習方法を提案してあげれば、そこから、さらに話が広がるでしょう。
その積み重ねによって、学生は人事担当者様を『この人は味方』と認識するようになり、それを起点となり、貴社への志望度も高まっていきます。
学生がかかえる不安点と、その時々に合わせて送るメッセージについては、以下の記事にまとめていますので、ご一読ください。
(4)学生にメッセージを開封しやすい開封しやすい時間と頻度を聞く
とは言え、LINEはもともとプライベートの連絡手段として利用率を伸ばしてきたツールです。
「まったく連絡がないと不安になる…」という学生も多いですが、その反面「企業からの連絡が多すぎて、気が休まらない…」と本音を漏らす学生も少なくありません。
なぜなら、学生は企業から連絡があった場合「返信しないと印象がわるくなる…」と考えるからです。
そう思われてしまっては、人事担当者様と学生は良い関係を築けず、貴社が就職先の候補から脱落するのは目に見えています。
そのような事態を防ぐため、LINEを交換した直後に「何時ならLINEを見やすいか」「発信が多いと感じたらそれを素直に言って欲しい」。
「これは入社後の評価に影響しない」と人事担当者様から言明してあげると、学生は安心して発言できます。
まとめ
学生から貴社を「就職先」として選んでもらうには、彼(彼女)らが、大学などで教えられてきた就活のイメージを壊さなければなりません。
その手段として、LINEの絵文字とスタンプが有効です。
LINEでつながった際、人事担当者様から「忙しいときは、スタンプで返してくれても良いよ」というひとことがあれば、学生にはより一層返信しやすくなるでしょう。
一方で、人事担当者様の中には「入社前からそのような対応を繰り返していたら、働き始めたとき、社内のメンバー、あるは、お客様に対し敬意を使えなくなってしまうのではないか…」とのご懸念もあるかと思われます。
私たちMOCHICAカスタマーサポートスタッフは、人事担当者様から上記のような相談を受けたとき、「もう1度、LINEの運用目的を思い出して欲しい」とお伝えしています。
正直に申し上げると、最初は敬語でやり取りしていたものの時間の経過とともに、それが緩んでくる可能性は否定しきれません。
自分に対することば遣いが変わると、人は誰しも違和感を抱きます。会社だからこそ、その違和感は際立って見えてしまいがちです。
しかし、そこですぐに注意してしまうと、学生は萎縮してしまいます。
人事担当者様は、「学生との距離を縮めたい」、「彼(彼女)らに自社で欲しい」と考え、その方法を探す中で、本記事にたどり着いたと思われます。
それには信頼関係の構築が欠かせません。
信頼は、信用の積み重ねで少しずつ築かれていきます。
敬語が崩れ始めは、学生が人事担当者様や社内のメンバーを信用しはじめたサインなのです。
厳密に言えば、接点を持ちはじめたときから、敬語を崩さない学生もいます。
そこは1人ひとりの性格によって異なりますが、少しことば遣いが変わっただけですぐに注意するのは避けるべきです。そうしないと人は、「人事担当者様や社内のメンバーに怒られないようにしよう」と考えます。
それは、学生に限らず誰しもそうでしょう。
仕事の目的は、敬語をマスターすることではなく、自社に利益を生み出すことです。
その過程で、人事担当者様や社内のメンバーが『この人はTPOに応じた振る舞いが出来なさそう……あるいはできていない』と感じたらそれは指導すべきですが、少しことば遣いが変わってきたらすぐに注意するのは、得策とは言えません。
ビジネスマナーと、仕事を理解するには時間が必要です。
最初のうちは違和感があると思いますが、『あくまで、TPOに応じた振る舞いができているか』を基準に長い目でみていったほうが、彼(彼女)らは、貴社に利益を生み出す存在になってくれます。
MOCHICAについて
MOCHICAは、学生と企業様を“も”っと、“ちか”くにをコンセプトとした採用管理(以下、ATS)システムです。
これまで、応募者の情報管理は、ExcelやGoogleスプレッドシートで行うのが一般的でしたが、ATSを使えば、それ1つで、応募者の情報管理、応募者1人ひとりのコミュニケーションまで、すべて完結できます。
2013年頃から始まったLINEの普及に伴い、近頃は「LINE連携型ATS」が増えています。
LINEは、もともと「プライベートの連絡手段」として利用率を伸ばしてきたツールです。
それゆえ、「就職活動ではLINEを使いたくない…」と考える学生もいるでしょう。
弊社で運用しております「MOCHICA」においては、その点を考慮し、LINEとメールの両方で同じ機能を使えるようにしました。
このほか、商社や各メーカーで採用業務を担ってきたメンバーが“専任スタッフ”として、アカウントの導入やメッセージの作成をサポートいたします。
このため「採用活動に割けるリソースがない……」と悩んでいる企業様においても、安定した運用が可能です。
とは言え、システムに触れなければ採用フローの変更を判断は判断できないと思います。
以下に、MOCHICAの料金や導入事例をまとめた資料がありますので、導入の参考になさってみてください。