【例文あり】採用におけるメール・電話のコミュニケーションのポイント


東京工科大学がアンケートにてよく使う連絡手段を学生に尋ねたところ、「LINE」が利用率87.2%(2014年実施)でトップに。
これは、当時主流のメールにはない「スタンプ」や「既読通知」など、手軽さと便利さを両立した形が学生に受け入れらた結果でしょう。
LINEは、その後も学生のあいだで順調に利用率を伸ばし、2019年の同調査では95.9%を記録しています。

一方、「携帯メール」は2014年に71.4%を記録していましたが、2019年には24.8%まで低下。
LINEの普及が大きく普及した2014年は”コミュニケーション手法の転換期”と言っても過言ではありません。

しかしながら、採用活動の現場においてはLINEへの関心が高まっていますが、電話・メールでアプローチを図る企業も一定数残っているのも事実です。
本記事を読んでいる人事担当者様の中にも、LINEの存在を認識つつも電話、またはメールで採用活動を展開されている方がいらっしゃるかと思われます。
学生から内定承諾を得て「入社」につなげるには企業からの連絡に応じてもらい、その中で満足度を高めていかなければなりません。

本記事では、電話・メールでのアプローチに悩む人事担当者様へ向けて「連絡に応じてもらう方法/満足度を高めるコミュニケーションのとり方」を実例を交えて紹介します。

メール・電話の課題とその解消法

採用活動をメール・電話で展開する上で最大の課題は、「電話に出てもらえない(またはメールの返信率が高くない)」ことかと思われます。
実は、この課題もLINEの普及が大きな原因となっています。LINEは友だち同士のみでコミュニケーションを取れるツールです。
つまり、電話・メール(メッセージ機能)の両方でLINEを使っている学生の多くは、知らない番号・アドレスから連絡がくる習慣そもそもがありません。

また、メールに関して言えば一部ドメインを使ったアドレスは「迷惑メールフォルダに分類される場合がある」という仕様上の問題もあります。
このような理由から、企業が時間を割いて連絡をしても「電話に出てもらえない(またはメールの返信率が高くない)」との状況が発生しがちです。
この課題を解消するには企業側も報連相より明確に行う必要があります。具体的には以下の施策が有効です。

1.メールの施策

学生がメールを開くのは自分にとって「重要だ」と感じたときです。
メールを開いてもらうには、第一に件名を目立たせる必要がありますが、かと言って件名を大げさにすると迷惑メールのように見えてしまいます。
その中で、開封率を高めるため、採用担当者様に気をつけていただきたいのが「返信用アドレスの選び方」です。

(1)連絡用アドレスの選び方

応募者の学生と連絡をとる際、人事部または採用代表のアドレス使うことが多いかと思われます。
その場合、学生の受信箱には【株式会社△△】と社名が表示されるされます。
採用担当者様にとって、学生との連絡は業務の一環。それに会社のアドレスを使うのは当然です。
しかしながら、学生の多くはメールで複数の企業と連絡を取り合っています。
このため、採用代表のアドレスを使っていると他社と差別化できず、学生に”未読スルー”されがちです。

①学生と「1対1」の関係を構築する

そのような事態を避けるため、MOCHICA運営部では採用担当者様に対し「社内の個人アドレスの使用」をおすすめしています。
学生の多くは、就職活動用のアドレス、または業界別のフォルダーを作り就職活動に臨んでいると推察されます。
だからこそ、”未読スルー”が発生すると思われますが、その中に1通だけ個人からのメールがあったらどうでしょうか。

メールが届いたのは「就職活動用アドレス」です。学生は『きっと、どこかの会社から来た』と考え、メールを開封するでしょう。
メール(文字)とは言え、顔も名前も知らない相手と話すのは誰だって緊張するものです。
ましてやその相手が就職先で上司になるかもしれない人となればその度合は計り知れません。

採用担当者の名前や文面は、学生にとって「人柄を探る手がかり」になります。
株式会社△△ではなく、最初から個人名を明かしたほうが学生と1対1の関係を築きやすくなり、より親密なコミュニケーションが見込めます。
その上で、ていねいな対応を積み重ねていけば、学生の満足度・入社への意欲は高まっていくでしょう。
学生と連絡を取る際、採用代表のアドレスをCC(複写)に入れておけば、個人で関係を構築しつつ、人事部全体での管理が可能です。

(2)件名の書き方

たとえば、学生に選考案内を送る際、以下のように書くかと思われます。

1次面接について

文字どおり「1次面接の話をしている」ということは読み取れます。
しかし、これでは1次面接の日程調整をしたいのか、選考日時を知らせたいのか分かりません。
加えて、上記はどの学生にも応用できる件名です。このような件名を見ると学生の多くは「自動送信された…」と感じるもの。
そのような誤解を防ぐため、件名は以下のように書くのが有効です。

◯◯(学生の名前)さん、【1次面接】日時確定のご連絡

「◯◯さん」と自分の名前が書かれていれば、「自動送信された…」とは感じません。
そのうしろに『、【1次面接】日時確定のご連絡』と明確な要件が書かれていれば、学生は「日程が決まったんだ」と思い、メールを開封するでしょう。

2.電話の施策

電話の際、学生に表示されるのは電話番号のみです。
メールのように件名は表示されません。その中で、学生に応答してもらうには「どこの番号かひと目で分かる」ようにする必要があります。
そのため、採用担当者様にやっていただきたいのが「電話番号の検索表示化」です。

(1)検索表示

繰り返しになりますが、普段からLINEを使っている学生は知らない番号からの着信に出る習慣がありません。

現代は1人1台と言っても過言ではないほど、スマートフォン(SNSやインターネット)が普及。
つまり、学生の多くは”調べる習慣”が身についています。
知らない番号から着信があった場合、その番号をTwitterやインターネットで検索し、怪しくないか確かめるケースがほとんどです。

ゆえに、会社の電話番号や人事部の番号をインターネット検索で表示されるようにしておくと、学生から折り返してもらいやすくなります。

(2)連絡日時の明確化

とは言え、社内で使っているすべての電話番号を検索表示させるのは難しいかと思われます。
そこで、代表番号の検索表示化と合わせてやっていただきたいのが「連絡日時の明確化」です。

通常、学生に連絡期限を伝える際、「1週間以内」「10日以内」といったように期限を伝えるかと思われます。
おそらく、面接が終了した時点では合否基準に関する話し合いがもたれていないため、そうとしか言えないのでしょう。
しかし、学生が受けているのは1社や2社ではありません。学生の多くは政府が定める「就活ルール」の期限内に内定を得るべく、同時期に複数の企業にエントリーしています。
そのため、企業側の返答があいまいだと、たとえ志望度の高い企業であっても「知らない番号」と認識され、応答してもらえないケースがあります。

「1週間後」「10日後」ではなく「◯月◯日~◯月△日頃、03-△◯◆□-■△△◯から着信があった場合、出てください」と、日時や電話番号を具体的に伝えれば、学生の応答率が上がります。
面接終了時、社内で分かっている範囲で構いません。可能な限り具体的に伝えてください。

【シーン別】メール・電話の例文

メール・電話がかかえる根本的な課題を解消して、コミュニケーションを取れたとしても、企業側が価値のある情報を届けない限り、学生の満足度は高まらず、「入社」は見込めません。
以下、シーン別に「どんな情報を、どの程度書くべきか」をまとめていきます。

1.メールの例文

本記事では「面接の日程調整」「日程の確定」「面接後のコミュニケーション」の、3つの例文を用意しました。
学生とコミュニケーションをとる際の参考にしてみてください。

(1)日程調整


(ここをクリックすると例文が拡大されます)

①件名について

まず、学生に返信いただかなければ面接の日程は決まりません。
件名に◯◯さんと学生の個人名を入れるのはもちろんですが、「絶対に返信してほしい」との意思を示すため、例ではカッコで【要ご返信】と書いています。
上述のとおり、メールが開封されるか否かは件名の目立ち具合と分かりやすさにかかっています。
MOCHICA運営部がさまざまメールの書き方を試した結果、太めのカッコ(【】、『』など)と個人名(◯◯さん)を組み合わせると、メールの開封率が高い印象です。

②本文について

日程調整メールの役割は事務連絡ですが、単に要件だけを送っていては学生と親密な関係を構築できず、満足度が高まりません。
学生の多くは就活セミナーに参加し、ビジネスメールの書き方を学んでいます。
学生は「ビジネスメールをしっかり書けないと印象を悪くする」と考え、かなり緊張しているでしょう。
この時点では、社員(メール送信者)の人柄も分からないので、いわゆる四面楚歌のような状態です。
学生と親密な関係を構築するには、第一に緊張をほぐす必要があります。

そこで有効なのが「アイスブレイク」です。
アイスブレイクとは、本題前の「前フリ」のようなもの。丁寧に堅い文章を書かなければいけない…と思っている文章の中にアニメや音楽の話題があれば、学生は、「人事の人も、それを観る(聴く)んだ」と感じるでしょう。
その積み重ねが「メールの送信者=味方」という感覚を生み、親近感の構築につながります。
日程調整メールは「アイスブレイク」+「本題」+「結び」の順に書いてください。

アイスブレイクの内容は映画・ドラマ・音楽など何でも構いません。
ただし、学生が知らないを書くのは逆効果です。アイスブレイクは幅広い世代に認知されている作品について言及するのが効果的です。
上述の例文では国民的アニメ映画について触れています。

(2)日程(確定)の連絡


(ここをクリックすると例文が拡大されます)

①件名について

今度は、面接日程が決まったとの報告です。
学生に返信いただく必要がないので、【ご返信】の文言は要りません。
ただし、単に『◯◯さん、1次面接日程のご連絡』のみの場合、学生は「再調整が必要」なのか「確定」なのか判断できません。
絶対ではありませんが、「(確定)」と書かれていたほうが親切です。

②本文について

本文は上述同様「アイスブレイク」+「本題」+「結び」との構造で構いません。
選考を控えた学生の多くは、「選考の内容・採用基準または、それをどんな人が担当するか」という点に対して関心が高いと思われます。
このため、確定メールの本文ではそれらを説明するのが有効です。

例文では、1次面接の担当者名を明かしたうえで、選考方法を詳しく説明しています。
通常、選考案内メールで面接の担当者名を明かすケースは少ないかと思われます。
しかしながら、あらかじめ担当者の名前を明かしていけば、面接当日「この人が▲▲さんか」となります。
面接担当者の名前も、親近感をつくる要素の1つです。

◇間接的な情報伝達

上述のとおり、学生は採用基準への関心が高いと推察されます。
ですが、企業側からみれば採用基準は明かせません。
そこで、例文では『弊社で「働きたい」と考えるようになったきっかけや入社後の目標をお話しください』と展開。
間接的に志望動機の大切さを伝えています。
具体的に明言されていないとは言え、企業から届いたメールに合格を得るためのヒントと思える情報があれば、学生は前向きに対策できるでしょう。

◇コミュニケーションのハードルを下げる

人事担当者とのコミュニケーションは、学生にとって非常に気を使う行為の1つです。
メールは昼夜問わず送受信できるため、「何時までやり取りすべきか…」と返信時間に悩む学生は少なくありません。
コミュニケーションの初期段階で企業側が『何時に返信していただいても構いません』明言しておけば、学生は返信しやすくなり、活発なやり取りが見込めます。

(3)面接後のお礼


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①件名について

本来、お礼が目的ならば件名は「◯◯さん、面接へのご参加ありがとうございました」でも構いません。
しかし、それはメールの本文にも書けること。件名と本文の内容が重複していると手を抜いて書いたように見えがちです。
そのような誤解を防ぐため件名には「◯◯さん、面接お疲れさまでした」と書き、学生の労をねぎらっています。

②本文について

過去数回のやり取りから「DVDを観た」「映画好き」といった情報から、人事担当者の人柄は伝わっているでしょう。
お礼メールにアイスブレイクは要りません。

面接を終えた学生が気にかけているのは「いつ、どんな結果が届くか」だと推察されます。
本文では、それを詳しく説明しましょう。
上述の例文では「結果は10日~2週間以内に連絡する」と書いたあと、◯月▲日以降、メールまたは電話着信を見逃さないでほしい、と注意を促しています。

2.電話の例文

続いては、電話の例文です。

(1)日程調整


(ここをクリックすると例文が拡大されます)

①話の構成

電話は、メールと異なり記録が残りません。
学生があとから読み返せないため、前段が長すぎると本題の印象が薄れがちです。
このため、電話ではアイスブレイクを行わず、挨拶を終えたら本題に入って構いません。

ですが、上述のとおり電話は記録が残らないぶん、双方どちらかが記憶違いを起こす可能性があります。
そのような事態に陥らないよう、本題に入る前には学生にメモを取るよう促してください。

(2)日程(確定)の連絡


(ここをクリックすると例文が拡大されます)

①話の構成

こちらも、挨拶を終えたら本題に入って構いません。
「選考方法の詳細を説明する」「面接官の名前を明かす」といった手法もメールと同じです。
ただし、日程(確定)の連絡は画像を見たらお分かりいただけると思いますが、かなり多くの情報を伝える必要があります。
正確に伝えるため、適度に確認をとり、ゆっくり話しましょう。
話し方については『オンライン採用を成功させるための3つのポイント』にて詳しく紹介していますのでご一読ください。

(3)面接後のお礼


(ここをクリックすると例文が拡大されます)

①話の構成

日程調整、日程(確定)の連絡と同様の理由でアイスブレイクは要りません。
どこの会社に入り、なんの仕事をするかで、ビジネスパーソンとしての最初のキャリアが決まります。
学生にとって、合否についての情報はもっとも関心が高い事項です。
学生の理解度を推察しながら、通知期限、電話番号・メールアドレスなど正確に伝えてください。

まとめ

学生にメール・電話で連絡をする際、どの学生にも同じような内容を伝えるかと思われます。
伝えるべき内容がある程度決まっていること、業務効率化を考えるとやむを得ませんが、これでは学生は「一斉送信(連絡)された…」と感じるものです。
企業側にそんなつもりがなくても、学生にそう感じられてしまったら良い印象はもたれません。
だからこそ「件名に個人名を入れる」「アイスブレイクで、映画や音楽など人事担当者の趣味の話をする」といった施策が有効になります。

学生にとって就職活動は、今後の人生を左右する戦いの場です。
ゆえに、学生の多くが今までにないほど緊張するもの。そこに1人でも味方と思える人(メール・電話をする人事担当者)がいれば、学生は安心できるもの。
人事担当者がそのような存在になるためには、学生が「自分だけに伝えている」と感じるメッセージづくりが不可欠です。

電話・メールと、LINE(MOCHICA)の違い

入社につなげるには、学生個々が「自分に送っている」と分かるメッセージを発信しなければなりません。
メールの配信スタンドサービスもありますが、記事の冒頭にも触れたように、近年はメールの利用率が低下。LINEの利用者が圧倒的に増えています。
それゆえ、メール・電話とLINEを併用すると結果が出やすくなります。

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また、MOCHICA運営部ではデモ機体験イベントも開催しておりますので、学生に効果的にアプローチしたい企業様は是非お申し込みください。

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