最終更新日 2021年11月25日
新卒採用において通年採用を導入する企業が増えてきました。
背景には日本企業の抱える大きな課題である人材不足があります。
採用担当者が企業運営のために部門や部署が希望する人材を確保するために新卒採用の計画を綿密に立てて実施しても、望むべき採用結果が出ないという悩みがよく聞かれます。そんな悩みを解決する解決策として通年採用が注目されています。
現在リクルート社やソフトバンク社などが導入しています。今回はそんな通年採用のポイントとして、メリット・デメリットと成功のために有効なタレントプールを解説します。
この記事の目次
通年採用と新卒一括採用との違い
まずはじめに、通年採用と新卒一括採用の違いをみてみます。企業経営のためには優秀な人材が不可欠ですが、そのためには良質な新入社員を採用しなければなりません。これは通年採用でも新卒一括採用でも変わりません。
しかしながら、採用方法は企業が置かれている社会環境の変化や経済の変化に大きく影響を受けます。現在新卒一括採用一色で進められていた日本企業の採用が、企業を取り巻く環境の変化に対応していくために、通年採用など今までとは違った方法に変革する流れが加速しています。
新卒一括採用とは?
新卒一括採用とは、企業が「決められた期間で一括して新卒学生を採用する」採用の方法です。一般的には新卒学生がエントリーを開始する時期と、面接を解禁する期間が決められ、一括して採用を行います。
新卒一括採用では、一年の中で採用を行う時期が決まっていて、その時期以外は新外採用を原則行いません。日本企業の多くは日本の大学の学生が卒業する春の季節に新卒採用を一括して採用しています。
それは、学生の本分は学業であり、卒業までは学業を行うのが本来の姿であり、就職活動が学業に悪影響を及ぼすことはよろしくないという考えのもと、経団連が(日本経済団体連合)が就職協定をつくり、採用活動解禁時期設けたことによります。
企業にとっては、一括して採用したほうが、その後の研修スケジュールも部門部署への配属も一括で同じ期間で実施できることから、スケジュールが立てやすく、初期の新人に対する人材育成にかかるリソースと時間、費用といったコストを抑えられると考えられていました。
買い手市場であれば、企業は新卒採用候補者の中から自社に適した新人を選別していけば人材を確保できましたが、売り手市場の場合は、一括採用で決められた期間では欲しい人材を獲得できないという課題が出てきました。
通年採用とは?
通年採用とは、一年中採用を行う採用方法です。決められた期間で採用をするわけではないので、採用候補者に合わせて柔軟に採用スケジュールを組んでいくことが可能です。たとえば、新卒採用にこだわらない既卒者の採用や、グローバル化がすすむ中で、日本の就学スケジュールとは異なる国に留学している外国人や留学生の採用に有効に活用できます。
なぜ通年採用なのか
通年採用を導入する企業が増加している最も大きい理由は、日本企業の人材不足です。
新卒の採用市場が、買い手市場であれば、大手企業や学生から人気のある企業だけでなく、中小企業でも、企業経営に必要な人材候補者を新卒一括採用で獲得することができますが、近年の売り手市場では、新卒採用候補者の多くが大手企業や学生から人気のある企業に集中し、中小企業は新卒一括採用の方法では、新人を獲得することができない現実があります。
また、グローバル市場で勝ち残るためには外国人採用をすすめる必要があります。海外では卒業の時期が春ではなく秋であるケースが多いため、春に実施する新卒一括採用では対応できなくなったわけです。
さらに、新卒学生だけでなく、第二新卒も採用候補者にする企業が増えてきたことも通年採用へとすすむ理由のひとつです。
経団連の動き
経団連が(日本経済団体連合)が就職協定という協定をつくり、採用活動解禁時期という期間を設けていましたが、日本企業をとりまく社会環境の変化やグローバル化に対応するために、2018年10月に採用に関する指針を策定しない方針を示しました。
通年採用の現状
企業は、時代に対応するために、多様な採用機会を採用して、さまざまな知識やスキルを持った多様な人材の獲得を目指しています。それを実現するために春の決まった時期に採用を行う新卒一括採用以外にも、海外大学など卒業のシーズンが異なる採用候補者を対象とした、夏や秋の採用や、通年採用の方法を導入するケースが増加しています。
従来日本企業の人材は、人を採用し育成して配置していく考え方を採用してきましたが、専門的なスキルと経験を持った人材には、企業が必要とする職務内容に合わせたジョブ型雇用を当てはめることが最適です。
こうした高度なスキルと経験を持った人材の採用を推進するために、新卒、既卒にこだわらない通年採用が進んでいます。
通年採用のメリット・デメリット
通年採用を導入することでどんなメリットがあるのでしょうか、またデメリットはあるのでしょうか。
ここでは通年採用のメリット・デメリットを紹介します。
メリット
通年採用のメリットは3点あげられるでしょう。
1点目は、期間が決まっていないので、時間をかけて優秀な人材を選別することが可能となる点です。時間がかけられることで、企業と採用候補者がお互いにギャップをなくしていくことができるため、入社後のミスマッチが起こる可能性を抑えることができます。
2点目のメリットは、多様な採用候補者に適応する今の時代にあった採用が可能になることです。従来の新卒一括採用では、期間が限定されているため、企業が接することができる人材に制限がありました。たとえば、海外の大学に所属している外国人や留学生や既卒者などです。
通年採用を導入して、優秀な人材の情報を蓄積して管理(タレントプール)しておけば、最適な時期に最適な人材を採用することをできる可能性が高まるのです。
3点目のメリットは、内定辞退に対する対応ができることです。内定辞退は企業の採用担当者の大きな悩みのひとつです。せっかく内定者を確保して必要な人材を手配できたと思った矢先に内定辞退者がでると、補完に向けて対応を考えなければなりません。
通年採用を導入することで、内定辞退が起きても、時期や期限に制限されることがなく、タレントプールしていた人材から最適な人材を探すことでスムーズな補完が可能です。
デメリット
現在の日本の採用事情においては、新卒一括採用をメインに採用を進める企業が大半を占めているため、通年採用を導入している企業であっても、春の採用活動期間を注視していない計画をたてることは、避けなければなりません。また、採用活動の最初の段階から新卒一括採用で採用されなかったときの予備候補ととらえられる可能性もあります。
適年採用を成功させるために有効な「タレントプール」とは?
通年採用は年間を通して採用に対する取り組みを行うので、従来の新卒一括採用とは違った考え方やツールを導入していく必要があります。採用担当者は採用候補者について一定期間だけでなく通年みていかなければならないわけです。通年採用に必要な考え方は、採用候補者のデータの蓄積と活用です。そんな通年採用を成功させるために有効なのがタレントプールです。
タレントプールとは?
タレントプールは英語で「Talent Pool」となり、直訳すると才能を蓄積するという意味になります。企業の採用活動においてタレントプールとは、優秀な採用候補者の情報をデータベースとして蓄積して管理することをさします。
メリット
タレントプールのメリットは、通年採用の成功に不可欠な採用候補者の情報管理を容易にすることです。
企業の採用担当者は、自社が保有している採用候補者の情報やLINEやFacebookなどのSNSを通して獲得した情報、イベント・説明会で得た情報などをタレントプールにデータベースとして蓄積していきます。
企業の人事担当者はタレントプールに蓄積された情報を活用して、優秀な人材に対して、LINEなどで密接なコミュニケーションをとり、近況状況の確認やイベントへの誘いなどを行い、自社と採用候補者にとって最適な採用ポジションの募集が出た時にスピーディーにコンタクトがとれるのです。
さらに、自社でタレントプールを導入することで、人材紹介会社を使うことかかる費用を削減することもできます。
デメリット
タレントプールで採用候補者の情報を蓄積することができても、自社で運用していくためには、活用やメンテナンスが難しい点が大きなデメリットになります。たとえば、蓄積された情報を活用して、優秀な人材に対して密接なコミュニケーションをとることや、いつどんな情報をどんなタイミングで採用候補者に発信するのが最適かといった点は大きな課題です。またデータベースの情報量が膨大になってきた時の整理や管理も考えなければなりません。
デメリットの解決策としてタレントプール活用のシステムを提供している企業のツールを活用するのも良い方法です。
企業での通年採用の取り組み事例
ここではすでに通年採用を導入している企業の中から代表的な事例を紹介します。
リクルート
リクルートは通年採用を導入した代表的な企業のひとつです。国内9社の新卒採用を統合して、より自由度の高い採用を目的に、30歳まで応募可能な新卒採用や365日通年でエントリーを受け付ける取り組みを採用しています。
ソフトバンク
ソフトバンクは、世界No.1の実現に向けてユニバーサル採用を導入しています。ユニバーサル採用では、新卒・既卒・就業者を問わず、春、秋の入社や通年採用を導入しています。
ファーストリテイリング
ファーストリテイリングでは、学年、新卒・中途、国籍を問わず通年採用を実施しています。特徴的なのは「ユニクロパスポート」の発行で、会社説明会、WEB適性検査、面接、本部セッション参加後、選考を通過した採用候補者に「ユニクロパスポート」を発行して、発行から3年以内はパスポート提示で最終面接を受けることができます。
楽天
楽天では、専門性を持った職種であるエンジニア職について通年採用を導入しています。選考時期、入社時期ともに、決まった時期を決めず、年間を通していつでも選考を希望し、選考が終わり入社が確定した後も、採用候補者の都合に合わせて入社時期を決めることができます。
採用候補者には、アプリケーションエンジニアなど専門領域の希望業務を選択してもらい希望業務を参考に入社後にどの部署でどの専門領域で業務を開始するのかを確定してから入社を確定していきます。さらに入社時の給与についても、経験とスキルに応じて評価し決めていきます。
楽天の採用方法によって、入社後に企業と採用候補者の間でギャップが生じる可能性を抑える効果が期待でき、企業にとっては、経営に必要な即戦力の人材を確保できることになります。
MOCHICAで適切なタイミングで適切なアプローチが実現する
通年採用を成功させるために有効なのがタレントプールですが、自社での運用や活用には課題も残ります。 通年採用を行うにあたり、「タレントプール」の考えを用いて適切なタイミングで適切なアプローチは必須です。
株式会社ネオキャリア( NEO CAREER CO., LTD. )が提案するツール『MOCHICA』ではそれが実現できます。MOCHICAはLINEを利用したサービスで、採用管理機能を使ってタレントプールを効率的に活用できます。
また、採用担当者にとって、採用候補者に対する連絡などに費やす作業は膨大です。エクセルシートを使った業務では、入力作業だけでも膨大な作業量が発生します。たとえば、説明会やセミナーなどの採用イベント開催からの採用候補者の予約管理や、採用の進捗に合わせた各種連絡など、さまざまな事務的作業が発生します。「MOCHICA」を導入することで採用候補者への連絡に関わる作業を効率化し業務時間を大幅に削減することができます。
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